Sechieでは秋に向けて企画展などの出展の準備を進めています。


9月には尾張旭の工務店「木の香の家」さんの秋祭りに参加させて頂く予定です。

雛人形と五月人形を、生活空間の中にきちんと飾り付けをすることで身近に感じてもらうことと、「リビングにどう飾ったらいいか分からない」という疑問を目で見て解決して頂けたら、という思いで、ご無理を言ってスペースを頂きました。

また、折角の機会なので同じ中部地区の伝統工芸・常滑焼の作家さんにもお声がけをし、お人形とコラボをしながらの新しい発信を少しだけさせてもらいます。

「飾る」「しつらえる」ということにジャンルの隔たりはありません。

何か新しい発見をして頂けると嬉しいです。


(以下、写真はイメージです)

常滑焼というと土色をした急須や壷を思い浮かべる方も少なくないと思いますが、今は若手の作家さんによって色とりどりの作品が産まれているんですよ!


「木の香の家」さんではコップやお皿なんかも物販します。

またお知らせしますので、興味のある方は是非いらして下さい!

もうひと月も前のことになりますが、岐阜県に工房を持つ木工作家のフジタマリさんに注文をさせて頂きました。

既にGALLERYページにお雛さまと一刀彫りの甲冑とを合わせて載せてありますので、よろしければご覧下さい。初節句のお祝いというよりも、大人の方が季節の飾りとして玄関先などに置いておくのにちょうど良い、可愛らしいセットになっています。


フジタさんの作る木工作品は数種類の木を組み合わせて作る小物類や家具が特徴的で、それぞれの木の表情が持つ魅力を引きだして、柔らかく、愛らしい子達に出来上がっています。


小物入れの棚と、一輪挿しと、ピアスです(^^)

扱う木によって色も木目も質感も全然違うのが分かりますね。

柔らかい曲線と木の素材感が心を温めてくれる、そんな作品達です。


私たちが扱うお節句の飾りも今までの垣根を越えて新しい感性で、こうした作品とも組み合わせて行きたいと考えています。

※下の写真は工房へお伺いした時(4月下旬)に工房近くで撮った桜と、雛飾りです。

名古屋市中区にある老舗料亭、河文さんのお節句飾りをご紹介いたします。

お節句の室礼をインテリアに合わせて現代的に提案していく際、「伝統を知る」という一見反対に見えることが一番肝要だったりします。

お付き合い下さい。


まずは入口にある菖蒲櫓です。

端午の節句には屋根から菖蒲を吊す菖蒲屋根という厄除けの文化があります。

しかし貴族や豪農などのあまりに大きい家では庭に櫓を設置して菖蒲を掛け、菖蒲屋根の代わりにしていたともいわれます。

玄関には具足の室礼。

後ろの飾りは菖蒲の花屏風です。

花屏風は茶道の世界でも使われます。一般のご家庭では小さくリメイクしても使えるかもしれません。

奥には兜飾りがありました。

真菰(まこも)の敷物を使っています。実は一昔前は最もポピュラーに使われていました。

兜の両脇にあるのは短檠(たんけい)という灯り取り。手前にあるのは弓太刀と、菖蒲、柏餅、粽(ちまき)の三つ揃えです。持ち主のお守りとなるものですからお供えをしているのです。すごく大切なお気持ちだと思います。

そしてやはり花屏風。結界のような使い方ですね。

いつかコンパクトなものを自分で作ってみようと思っています。

端午の節句飾りと一口で言っても飾れるアイテムは実はかなりあります。

鯉幟の鯉や馬、虎、矢襖、旗etc。

こうした伝統的な室礼を参考にしながらも、一般的な生活の中に飾る際にも使えるアイテムを作り込んで行く作業を今「Seshie」はやっている最中です。

だんだんと小出しに(笑)紹介していきますので、末永い目で見守ってやって下さい。


大西



名古屋の閑静な住宅街、八事。

そこにあるカフェ&ギャラリー「La maison des légumes」さんにてお節句のセミナーを受けてきました。

こちらではテーブルコーディネーターの先生が日本文化セミナーとして節句にちなんだセミナーをして下さっています。

(当HPの代表・大西の行きつけの喫茶店でもあります。)


今回は「上巳の節句」がテーマということで、アンティーク調の空間に合うようにお雛さまの飾り付けをして受講生達をお迎えして下さいます。

テーブルコーディネートに扱う器や花器、飾り小棚などもきちんと日本文化を意識して厳選されたものを扱うので、人形屋にとっても大変勉強になることばかりです。

セミナーの内容は「ひな祭りの室礼と日本の色」です。

伝統文化を四角四面に捉えるのではなく、要点を押さえながらも今風に楽しめたら良いですね。


コーヒーやお菓子もとても美味しいので一度行ってみてはいかがでしょう。


大西

2016年10月、名古屋市中区伏見にある柏木工株式会社名古屋ショールームにて「暮らしと室礼展」を行いました。飛騨高山に本社を置く柏木工様では木の温もり豊かな良質な飛騨家具を製造、販売しています。当「Sechie~節会~」プロジェクトもここが始まりの場所です。沢山のお客様、インテリアコーディネーター様にご来店いただき、沢山のご意見を頂戴しました。伝統あるお節句品の可能性を大いに感じられた展示会であったと思います。

・企画展紹介スペース(正月他)
砥部焼の器、手巻きの毬、松竹梅の羽子板、正絹反物


・サイドボード(雛)
京都の立雛(次郎左右衛門雛)、燭台、寒桜、柏木工さんの額飾りをピンクにアレンジ
・テレビボード(雛)
京都のおぼこ雛、御簾屏風、六角雪洞、桜橘

・サイドボード(端午)
京都の兜、弓太刀、ちまき、砥部焼のお皿、手染め木綿鯉(木のフレームに畳んで入れる)

・サイドボード(端午)
鎧着大将、短檠(たんけい)、麻のランチョンマット

近年、UNESCOによる文化遺産登録事業や2020年の東京オリンピック開催にむけてなど、日本文化の見直しが求められています。現代版民藝運動も活発になり各地で職人を集めた展示会も行われ、今後ますますこうした流れは加速していくものと思われます。

 かつて、私たち節句品を扱う業界は日本文化の中心にいました

 「正月・上巳・端午・七夕・重陽」という季節折々の伝統行事を取りまとめ、扱う工芸品の種類は織物、漆器、金工芸、木工芸、陶芸・・・と多岐にわたり、多くの職人と技術を育んできました。

 しかしながら、昨今では少子化や長引く不況の影響によって節句の設えをする家庭は減少し、安価・安易な海外製品の流入によって国内の職人や国内製品を中心に扱う商店は壊滅的な打撃を受け続けています。

 これはひとえに「自分たちの啓蒙活動不足によるもの」と言えます。

 節句の調度品を「ふるいもの」「かさばるもの」と思われる方もいらっしゃいます。ですが、かさばらない飾り方はいくらでもあります。加えて、本来言うまでもなく日本の文化は素晴らしく、職人の創り出すものは日本人が思っている以上にモダンなものです。モダンは伝統の中にこそあると私は考えています。これを、文化の成熟なくして必要以上に現代的にアレンジを加えたり、国内外のブランドに頼って無駄に高価なものを作ったり、あるいはスペックのみを重視して安価なものを海外で大量生産したりと、(悪いことではないですが)こうした仕事しかしてこなかった事が現状を作り上げていると言えます。

 原点に立ち戻って「節句品とは何か」をよく考えた時、ただ商品を扱っているだけではいけないことに気付くはずです。そこには「想い」があり「暮らし」があります。現代の生活の中でいかにして想いのこもった調度品を提案出来るかということに注力し、提案していきたいと考えます。

 節句人形店以外にも、インテリアショップやコーディネーター、あるいはテーブルウェアや他の様々な仕事をされる方とご一緒出来れば幸いに思います。

                                発起人:大西嘉彦