コラム。「何か新しいもの」から。
今回はこの会の代表大西が「お節句」にこだわる理由です。
数年来、下手したら数十年来、この国では「職人」という言葉に注目し、各メディアもこぞって「若手職人」や「凄腕の職人」を取り上げてきました。伝統産業の後継者不足も大きな問題となってから長い年月を経ています。もちろん、私たち人形屋業界も他の伝統産業業界と同じ問題を共有しています。
昨今では各メディアの注目もあり、各業界で若手の職人・作家も徐々に増えてきているように感じます。中には大手企業とタイアップして世界で活躍する作家も出てきています。これはとても喜ばしいことと感じています。(私たちも頑張らないと!)
ですが一方で、毎年何人もの職人が廃業に追い込まれ、国内製の良品はどんどん姿を消しているのは相変わらずです。むしろ消え行く工芸品のスピードは加速度を増す一方です。
これは何故か。
「文化的な《こと》」が消えているからだと思っています。
新しく参入してくる作家さんは、個人で「何か新しいもの」を作る人。作家さんが作る「新しいもの」は職人に大きな刺激や励みを与え、産業の発展に貢献します。
一方で職人さんは、あくまで文化(《こと》)に沿ってものづくりをし、産業を下支えしてくれる人たちです。職人さん達が作る「ある程度汎用的なもの」と「超絶技巧品」がなくなれば、土台となる伝統的なブランドは根底から失われます。そうなれば作家も職人も存在できません。
さて、では何をすべきか。
「何か文化的な《こと》」や「何か伝統的な《こと》」を提案していくべきだと思います。(もっとシンプルに「楽しみ方」と言っても良いのかもしれません。)
「何か新しいもの」から、「何か文化的なこと」へ。
そこに「お節句(こと)」が果たす役割が何かしらあるものだと思っています。
文:大西
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